第255号コラム「デジタル・フォレンジックの黎明期からの発展 ― 「デジタル・フォレンジック」ってなに?」

第255号コラム:安冨 潔 副会長(慶應義塾大学大学院 法務研究科 教授、弁護士)
題:「デジタル・フォレンジックの黎明期からの発展 ― 「デジタル・フォレンジック」ってなに?」

 デジタル・フォレンジック、最近では、様々な分野で知られるようになってきたものの、約10年前には、専門家の間では別にして、社会一般ではほとんど知られていなかったように思い出される。わたくしも、当研究会設立にあたって。お誘いをうけたとき、デジタル・フォレンジックってなんなのという印象をもったことが思い出されます。お話を伺っていくうちに、このような技術が活用されるようになれば、犯罪捜査や刑事裁判で大いに役に立つだろうなと思いました。しかし、法律の分野においてどこまで浸透して、実務で利用され、裁判や法的リスク管理に活用されるようになるのか、法律の世界で、新規性の技術への関心について懸念も感じました。
 あれから10年あまり、研究会の熱心な活動もあり、今日では、デジタル・フォレンジックという言葉が、社会に定着してきたことは、研究会に関わってきた者としては、まことにうれしいことです。

第254号コラム「第10期の活動方針 今後の10年を見据えて」

第254号コラム:佐々木 良一 会長(東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
題:「第10期の活動方針 今後の10年を見据えて」

この4月からデジタル・フォレンジック研究会の活動も第10期となり、10年目の活動が始まります。

これまでの10年を振り返ると、2004年から始まる「デジタル・フォレンジックコミュニティ」の実施、2011年から始まる「デジタル・フォレンジック講習会」の実施、2006年の「デジタル・フォレンジック事典」(日科技連)の発刊、2010年の「実践的eディスカバリ -米国民事訴訟に備える-」(NTT出版)の発刊などを通じて、デジタル・フォレンジックという概念の普及に確実に貢献してきたと言えると思います。この間、デジタル・フォレンジックもいよいよ実用段階に入り、警察だけでなく民間においても、いろいろな局面で利用されています。

例えば、個人情報の漏えいなどに関連して漏洩事実や漏洩経路を明確化するために民間でも専門業者に依頼してデジタル・フォレンジックを適用する機会が増えてきています。また、デジタル・フォレンジックの一分野であるネットワーク・フォレンジックも新しい攻撃に対する対策として注目を浴びています。政府においても、ログ管理・証跡管理に関連する統一基準を設定すべく、内閣官房の情報セキュリティセンターと本研究会が協力して検討を行い、2012年7月に「平成23年度 政府機関における情報システムのログ取得・管理の在り方の検討に係る調査報告書」としてまとめあげました( http://www.nisc.go.jp/inquiry/pdf/log_shutoku.pdf )。