第277号コラム「新サイバーセキュリティ戦略とこれからの官民協力について思うこと」

第277号コラム:西川 徹矢 理事(株式会社損害保険ジャパン 顧問)
題:「新サイバーセキュリティ戦略とこれからの官民協力について思うこと」

 さる6月10日、政府は、情報セキュリティ政策会議において、我が国における新たな情報セキュリティ戦略として「サイバーセキュリティ戦略」を定めた。前戦略策定後3年間で、リスクは甚大化し、拡散し、グローバル化したと「リスクの深刻化」を強調し、それを踏まえて、世界を率先する強靱で活力あるサイバー空間の確保を目指して、諸々の対策の推進を定めている。

詳細は省くが、内容的には、2015年度を目途に自らも「サイバーセキュリティセンター」(仮称)と変身を遂げると宣言して、基本方針、取り組むべき分野及びそのための体制について、かなり前向きな姿勢で盛りだくさんなものになっている。
2010年5月に定められた前戦略においては、「国民を守る」として国民目線を強く打ち出すとともに、特に各種インシデント対処に重きを置いた大幅な方針の変換を図ったが、新戦略においても、この分野について更に踏み込んだものになっており、ある種の頼もしさを感じる。新戦略公表直後の同月27日に、同戦略に基づいた年次計画である「サイバーセキュリティ2013」を制定し、その具体的対応策の詳細を公表しているが、その中には、年来是非実現していただきたいと考えている施策も数多く見られ、一層の期待が膨らむものである。

第276号コラム「フォレンジック調査員から見た遠隔操作事件「ラストメッセージ」」

第276号コラム:松本 隆 理事
(ネットエージェント株式会社 フォレンジックエバンジェリスト)
題:「フォレンジック調査員から見た遠隔操作事件「ラストメッセージ」」

8月10日、ジャーナリストの江川紹子さんのブログでPC遠隔操作事件の真犯人からのラストメッセージ全文が公開※1された。このドキュメントは今年の元日に真犯人を名乗る人物(以下真犯人)から送られた「謹賀新年メール※2」のクイズを解くことで入手可能なUSBメモリに記録されていたものだ。

雲取山の頂上付近に埋められたUSBメモリは、当時悪天候だったこともあり、警察の捜索にもかかわらず発見されなかった。しかし後日(5月16日であるとされている)メールで指摘されていた通り、頂上付近の地面からビニール袋に収まった状態で発見された。1月の段階では、地面が凍結していて掘れない部分の土に埋まっていたということである。

この真犯人からのラストメッセージは長文だが非常に興味深く、読みごたえがある。私もデジタル・フォレンジックの技術者としていくつか引っかかる点があった。そこで、このコラムの場をお借りして簡単なコメントを入れてみたいと思う。なお、これはあくまで個人的な感想であって、私の所属する組織や会社とは一切関係はない。またこのコメントで真犯人の素性をプロファイリングしたり、誰かの意見を代弁したり、特定の組織や個人を批判するつもりは一切ないが、仮にそう受け取られてしまう表現があったとしたらそれはすべて私の不徳の致すところである。