コラム第929号:「AIが変化させるアメリカの裁判 - 近時の証拠法判例と実務」
第929号コラム:櫻庭 信之 理事(第一東京弁護士会 弁護士)
題:AIが変化させるアメリカの裁判 - 近時の証拠法判例と実務
実用的な生成AIがコンシューマ向けにリリースされると同時に、米国弁護士の間にAIが急速に普及しました。訴訟先進国である米国の法曹実務は今やAIを必須のツールとしており、AIを使った判決予測や各裁判官の判断傾向(人間としての行動パターンなど)を提供するリーガルテックサービスもすでに始まっています。アメリカの現状を象徴するものとして、昨(2025)年のワシントンDC・コロンビア特別区控訴裁判所の判決があります。判決の中でディール裁判官がChatGPTを使ったリサーチに基づいて反対意見を述べたのに対し、多数意見のハワード裁判官は、「私は同僚がAIを使ったことを非難するつもりはありません。」と前置きしつつ次のように述べました。
コラム第928号:「コロラド州AI規制法の改正と今後の米国AI規制の行方」
第928号コラム:尾崎 愛美 理事(筑波大学 ビジネスサイエンス系 准教授)
題:コロラド州AI規制法の改正と今後の米国AI規制の行方
I.はじめに―コロラド州AI規制法の改正
2026年5月、コロラド州は、2026年6月末日に施行予定であったConsumer Protections for Artificial Intelligence(「人工知能に対する消費者保護法」※1)を廃止し、新たにAutomated Decision-Making Technology(「自動意思決定技術法」※2)を制定した。2024年5月に成立した「人工知能に対する消費者保護法」は、全米で初となる包括的なAI規制法として注目が集まっていたが、成立当初から産業界をはじめとする利害関係者から批判が相次いだために当初の施行日が延長されるなど、見直しが進められていた。同法については、2026年4月に、司法省が、同法の条項が合衆国憲法第14修正の平等保護条項に違反するとしてxAIによって提起された訴訟に参加するといった事態にまで発展している※3。今般の「自動意思決定技術法」の成立により「人工知能に対する消費者保護法」は廃止されることになったところ、今後の米国のAI規制のあり方については、改めて考察する必要があると思われる。そこで、本コラムでは、「人工知能に対する消費者保護法」と「人工知能に対する消費者保護法」の内容を紹介しつつ、今後の米国のAI規制の行方について考えてみることとしたい。
