第66号コラム「メディカル・フォレンジック・システムの展開」

第66号コラム:吉崎 徳彦 氏 (KSオリンパス(株) 医療機器本部企画部MFSグループ)
題:「メディカル・フォレンジック・システムの展開」

メディカル・フォレンジック・システム(MFS)という動画ファイリングシステムを展開させていただいた状況に触れさせていただきます。医療機関では、患者への説明や研究のため、映像記録をDVDなどでデータを記録することが現在まで一般的であると考えています。しかしながら、手技の安全性やプロセスの正当性の証拠となるデータを披瀝することで手術室の透明化することを目的とする場合、真正性や証拠性が担保された状態でデータを保全するためには、たとえばメディアを複数枚作成し、鍵のかかった場所で作成したメディアを管理するなどが必要になるかと存じます。データの保全性や真正性を担保しうるシステムの実現は、実は様々な課題がございますが、本製品では、最初に製品コンセプトの確立にご協力いただいた順天堂大学産婦人科の菊地先生をはじめ、多くの先生方にご協力により、医療現場での複数映像と生体情報(脈拍、血圧、酸素飽和度など)の同期記録、RAIDの利用、患者情報の暗号化、タイムスタンプの導入などを検討・実現し、単純な動画記録を発展させていただきました。製品のリリース後、以下のような進展がございましたので、紹介させていただきます。

第63号コラム「個人情報保護法」

第63号コラム:熊平 美香 氏 (財団法人クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「個人情報保護法」

個人情報保護法が施行されて今年で5年目になります。私は、情報セキュリティの啓発活動に20年間取り組んでまいりましたが、個人情報保護法が施行された2005年頃から、情報セキュリティに対する意識が高まり、積極的な取り組みが進みました。

当時の代表的な情報漏えい事件は、1999年に発生した宇治市の21万件を超える個人情報の漏えいでした。宇治市のシステム開発を業務委託した先の社員がデータをコピーし、名簿買取業者を経由し、インターネット上に宇治市住民台帳として売り出されました。宇治市の現場責任者として対処された宇治市役所元情報管理課長の木村修二氏には、広島でもご講演いただきました。情報セキュリティは、情報保有者の視点ではなく、情報の主体となる個人の視点で考えるべきであるというお話には、共感するものがありました。宇治市は、住民1人に対して、慰謝料1万円と弁護士費用5000円の合計1万5000円を支払いました。

個人情報保護法の成立した2003年には、ローソンの会員115万人のうち56万人の個人情報が漏えいするという事件が起こりました。訴訟にはなりませんでしたが、ローソンは、115万人の会員に、お詫び状と500円の商品券を郵送しました。翌年の2004年には、Yahoo!BB加入者約452万人の個人情報が流出し、世の中を騒がせました。

第62号コラム「「コーポレート・ガバナンスとナレッジマネジメント」

第62号コラム:伊藤 一泰 氏(株式会社インターセントラル 総務経理部長)
題:「コーポレート・ガバナンスとナレッジマネジメント」

コーポレート・ガバナンス(企業統治)が日本でも意識され始めたのは、1990年代だといわれている。

2002年12月には、当時の東証社長の呼びかけで「上場会社コーポレート・ガバナンス委員会」が設置され、「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」を取りまとめている。上記委員会の報告書「上場企業のコーポレート・ガバナンスの充実に向けて」(2004年3月11日)を見ると「コーポレート・ガバナンスに関する啓発とガバナンス関連情報の開示を通じた上場会社のアカウンタビリティーの向上、更には市場の評価を通じたコーポレート・ガバナンスの充実に役立てる・・・」との表現があり、当時の意気込みが伝わってくる。

現在では、すっかり定着したかにみえるコーポレート・ガバナンスの概念も、歴史的には、つい最近導入され、関係者の努力で普及促進が図られたものである。

これまでの伝統的な日本企業は、何らかの重大な問題に直面した場合に、明文化されたルールに基づく合理的な解決策よりも、ウエットな人間関係にどっぷりと漬かった世界で、暗黙のルールに従って処理する方法を選択してきた。しかも、そのような処理方法を選択したことから生じる判断の誤りや決断の遅延については誰も責任を取らない。