第48号コラム「デジタル・フォレンジックと歴史」

第48号コラム:佐々木 良一 理事(東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
題:「デジタル・フォレンジックと歴史」

最近、情報セキュリティの歴史をまとめる動きがいろいろなところであります。1つは、情報処理推進機構が、「情報セキュリティ教本改訂版」実教出版、2009のなかで攻撃事例や法律や政策を中心に、1985年からの歴史をまとめています。また、日本ネットワークセキュリティ協会もビジネスを中心に歴史をまとめようとしています。さらに、情報処理学会でも、学会50周年を前に、情報セキュリティも含め、歴史をまとめることになっており、現在準備中です。個人的で、かつ、暗号応用やデジタル署名に関する部分だけの歴史ですが私も頼まれてECOMという組織に下記のような雑文を書きました。(http://www.ecom.jp/news/ECOMNewsNo.42.pdf)※リンク切れ
このように歴史をまとめることが増えてきたのは、セキュリティの研究やビジネスが立ち上がってから約25年になり、記録しておく必要性をいろいろなところで感じ始めたからでしょうか。ちなみに、今の電子情報通信学会の「暗号と情報セキュリティシンポジウムSCIS」が始まったのが1984年、日本セキュリティマネジメント学会が発足したのが1986年です。

第46号コラム「米国の越境的e-DiscoveryとEUのデータ保護」

第46号コラム:金子 宏直 氏(東京工業大学大学院社会理工学研究科准教授)
題:「米国の越境的e-DiscoveryとEUのデータ保護」

EUデータ保護指令(95/46/EC)の29条検討委員会が2009年2月11日付けでEU諸国が米国のディスカバリへの対応について検討報告書(ワーキングペーパー)を公表している(00339/09/EN,WP158)。これも参考に米国の越境的e-Discoveryをみてみよう。ここでは米国の越境的e-Discoveryは、米国訴訟の外国訴訟当事者の関係者に対して、直接的に米国内と同様に電子的情報(ESI)を対象にしたディスカバリを指すものとする。
まず、司法制度を異にする国においてESIの提出を要求される者には脅威である。特に、大陸法諸国は証拠収集における当事者の役割、証拠収集が司法権の行使にあたるかについて立場を異にするため、米国のディスカバリ制度には強い拒絶反応がみられる。
そもそも越境的ディスカバリについては、これまで証拠の開示・提出を要求する当事者の代理人である弁護士が行う証言録取が、外国による裁判権行使にあたり自国の主権を侵害する危険があり、国際民事証拠共助制度によるべきであると主張される。諸外国では自国内で事実上ディスカバリによる証拠収集が行われることを阻止する目的の規定を立法する国もある。