第73号コラム「文献にもるリスクと人間」

第73号コラム:佐々木 良一(東京電機大学 未来科学部 教授、IDF理事)
題:「文献にもるリスクと人間」

1 はじめに

デジタルフォレンジックを含むITシステムの「リスク」の研究をしている関係から、リスクに関連する文献を読むことが多い。リスク (risk) という言葉は、経済学、社会学、心理学など多くの分野で使われており、その定義は少しずつ違うが、「ある行動に伴って、危険に遭う可能性や損をする可能性を意味する概念」と言う意味においては共通であろう。工学分野では通常、「リスク=損害の発生確率x損害の大きさ」で表されることが多い。

最近次のような3冊の比較的面白い本を読んだので、これらを紹介し感想を述べてみたい。
1)ダン・ガードナー「リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理」早川書房 、2009
2)山岸 俊男「日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点」集英社インターナショナル 、2008
3)ナシーム・ニコラス・タレブ「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質(上)(下)」ダイヤモンド社、2009

第72号コラム「情報新時代に求められる教養と人材育成―総合力と止揚力」

第72号コラム:辻井 重男(IDF会長、中央大学 研究開発機構 教授)
題:「情報新時代に求められる教養と人材育成―総合力と止揚力」

下記の文章は、昭和16年12月8日、真珠湾攻撃成功のニュースに接したある文芸評論家の日記である。誰の文章かお分かりだろうか。

「妙に静かに、ああこれで言い、これで大丈夫だ、と安堵の念の湧くのを覚えた。この開始された米英相手の戦争に、予想のような重っ苦しさはちっとも感じられなかった。方向をはっきりと与えられた喜びと、弾むような身の軽さとがあって、不思議であった」、「大和民族が、地球の上では、もっともすぐれた民族であることを、自ら心底から確信するためには、いつか戦わねばならない戦い」(ドナルド・キーン(著)、日本人の戦争 作家の日記を読む (文芸春秋)より)。

これは、戦後、昭和30年代を中心に「文学に関する12章」や「女性に関する12章」などのベストセラーを世に出した著名な英文学者・文芸評論家、伊藤整が記したものである。伊藤整は当時、東工大の教養課程の講義もしており、筆者も受講した1人であった。日米開戦時、同じような感想を持った著名な文学者や作家が少なくない。

第71号コラム「第6回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

第71号コラム:丸谷 俊博(IDF理事・事務局長)
題:「第6回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

今期(第6期)のIDF活動も年度計画に示しております各分科会やワーキング等の諸活動が役員及び会員のご協力、ご支援のもとに逐次実施されておりますことを嬉しく思っております。どうも有り難う御座います。

今年のデジタル・フォレンジック・コミュニティ2009は、「事故対応社会におけるデジタル・フォレンジック ― それでも起こる情報漏洩に備える ―」をテーマとして12月14日(月)、15日(火)の二日間、開催されます。丁度、このメルマガ発信後に開催情報を公開し、参加受付等を開始する予定です。そちもご覧下さい。

情報セキュリティ政策の推進と啓発により、官民での各種対策や情報セキュリティ関連教育や管理手法は、逐次普及・浸透し、職員等のリテラシーも向上して参りましたが、意図的なハッキング等による情報窃盗・窃視だけでなく、内部統制や監査上も、また各種のシステム的にも人的にも管理・監視されているはずの組織・企業からの情報漏洩事故等は、引き続き発生し続けています。