第215号コラム「チェックアウト・プリーズ ASAP その1:人生のチェックアウト」
第215号コラム:林 紘一郎 理事(情報セキュリティ大学院大学 教授)
題:「チェックアウト・プリーズ ASAP その1:人生のチェックアウト」
まず始めにお断りしておきたいのは、以下の記述(連載で3回ほどになる予定)がフォレンジックにどのように関わるのか、私自身にも分からないことである。直接の関係はないにせよ、広い意味での社会現象に触れたものとして何らかのヒントになれば幸いであるが、ひょっとすると「風が吹けば桶屋が儲かる」と同程度に、迂遠な説明をしているだけかもしれない。時間を持て余している老人のたわごとを聞いてあげよう、というフィランソロピー的な気持ちで、お読みいただきたい。
去る3月の中旬に、母を亡くした。あと数日で97歳という大往生であったから、思い残すことは、さほど多くない。しかし、その死の前後における経験は、私に言いようのない不安(あるいは後味の悪さ)を残した。人生のチェックアウトは、すべての人に平等に(しかも1回だけ)訪れることであるが、高齢化社会の到来で従来の考えが通用しなくなっている。今後は自分の死後の対応についても、ASAP(As Soon As Possible) を旨として予め計画せざるを得ないことを、痛感させられたからである。
