第127号コラム「ストーリーに翻弄される人たち」
第127号コラム:松本 隆 理事(ネットエージェント株式会社 フォレンジックエバンジェリスト)
題:「ストーリーに翻弄される人たち」
人はいつも、想定外の出来事に遭遇すると「分かりやすいストーリー」を求める。たとえばニュースを通して理不尽な事件に憤り、なぜそのような痛ましい事件が起こってしまったのか、犯人は一体どんな人間なのか、関連する報道をつい追ってしまう。マスコミから提示されるストーリーが、自分にとってしっくり来るものであれば納得し、心のどこかでつじつまが合ったことに安心する。ただし、この分かりやすいストーリーには落とし穴がある。当たり前だが、ストーリーの分かりやすさと正しさの間には、何の関係もないはずである。しかし、分かりやすいストーリーは多くの人に共感され、信頼され、いつの間にか正しいものとして扱われてしまう可能性があるのだ。
ストーリーの分かりやすさとはなんだろう。多くの場合、シンプルで論理的に矛盾がないことである。自分の価値感に照らしあわせて、結果が共感できるものならばなお良い。しかし、そこに「願望」が加わると非常に危険なものになる。このことは、近頃世間を騒がせている幾つかの事件を見ると理解いただけるだろう。
