第80号コラム「死者の代弁者」
第80号コラム:伊東 寛(シマンテック総合研究所 デレゥター 主席アナリスト)
題:「死者の代弁者」
このタイトルはオースン・スコット・カードの小説から取りました。以前からこの名称がとても気に入っているからです。これは、文字通り、死んだ人の代わりに彼の思いを述べる人のことです。
死人に口無し、歴史は勝った方が自分に都合よく書き換えた資料と文書の積み重ね、等と言われるように、過去の事実を掘りおこし真実を明らかにするのはとても骨が折れることです。誰かによって書かれたものがいつも正しいとは限りません。その人や組織にとって都合良く事実を歪めてあるかもしれないからです。そこで、人の思惑の入らない過去の資料をできるだけそのままに解析し理解しまとめ上げる態度が重要となる訳です。それは歴史の世界では考古学のある分野かもしれません。そして、我々、セキュリティ業界においては、それはフォレンジックに相当する部分でしょう。
でも、もし誰かが代わりに失われた真実を述べることができたら。それが「死者の代弁者」というわけです。今日は、フォレンジックというより、セキュリティにおける、ある死者の代弁者をしようと思います。その死者とはトロイの人々です。
