第36号コラム「江戸時代のログファイル」

第36号コラム:佐々木 良一 理事(東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
題:「江戸時代のログファイル」

今日は2009年の元日。このコラムに記事を書いてほしいという依頼があり何にしようかとつれづれなるままに考えていた。前回書いたときは堅い話になってしまったので、今回は何とか柔らかな話にしたいなと思っていたところ、昔、「江戸時代のファイアウォール」という記事を大学のブログに書いたことを思い出した。http://www.im.dendai.ac.jp/sasaki/2007/04/20070420firewall.html ※リンク切れ

ここでは、「ファイアウォールとは、防火壁のことである。江戸時代などに使われた防火壁の1つに「うだつ」というのがある。「うだつがあがらない」などという言い方をする場合に使われる、うだつである。うだつとは、屋根の両端に一段高く突き出た小屋根をいい、本来、火災を防ぐための防火壁のことで、裕福な商家は競ってこのうだつをあげたため、いつしか立派なうだつは商人たちの富と信用を象徴するものとなった。したがって、うだつがあがらないとは「地位・生活などがよくならないことやぱっとしないこと」を意味するようになったようである。」とファイアウォールとうだつの関連が深いことを述べた後、機能的にもっと近いのは江戸時代の「出島」ではないかということを書き、その類似性を列挙した。このとき、他のものとの類似性を検討するのはそれだけでも面白く、さらにそれにより、ものの本質が見えてくることがあると言うのを感じた。

第35号コラム「ハッシュ関数の安全性とオーストラリアの裁判事例  ― カント・ヒルベルト的世界観からゲーデル・ブラウアー的世界観へ ― 」

第35号コラム:辻井 重男 会長(情報セキュリティ大学院大学 学長)
題:「ハッシュ関数の安全性とオーストラリアの裁判事例  ― カント・ヒルベルト的世界観からゲーデル・ブラウアー的世界観へ ― 」

皆様、明けましておめでとうございます。

昨年、12月15日、16日のコミュニティ2008は深い内容の講演・パネルを中心に素晴らしい盛り上がりを見せ大成功でした。ご支援頂いた関係各位、講師の方々にお礼申し上げるとともに、丸谷局長の指揮の下、献身的に努力された事務局の皆さんに深く感謝する次第です。

私は、現在、総務省で、公的個人認証用暗号の世代交代の進め方に関する検討会の座長を務めていますが、その中で、デジタル・フォレンジックの基盤技術であるハッシュ関数に関係する、次のようなオーストラリアでの交通違反に関する裁判の事例が話題になりました。

「スピード違反取締用に設置されていた交通カメラでハッシュ関数のMD5が利用されていた。当時、MD5は暗号学会において衝突計算攻撃が成功する事例が報告されていたため、交通違反の証拠は無効だという被告側の主張を認める判決が下された。」

第34号コラム「コミュニティ2008終了報告と年末ご挨拶」

第34号コラム:丸谷 俊博 理事・事務局長(株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「コミュニティ2008終了報告と年末ご挨拶」

今期の第5期は、デジタル・フォレンジック研究会の中興の期と位置付けてIDF理事・監事・幹事の積極的なご支援とIDF会員各位の諸活動へのご参加を賜り、毎週のコラム発信や毎月または隔月の分科会開催を年度計画通り実施して来ることができました。また、12月15日(月)、16日(火)の第5回デジタル・フォレンジック・コミュニティ2008もIDF会員をはじめ、多くの参加者を得て内容も濃くe-DiscoveryやITリスクに備え信頼を支える技術基盤としてのデジタル・フォレンジックの活用を提言できたと思います。

今回の参加者は、従来からのIDF会員、提携団体であるJASAやJNSAからの参加者、後援省庁・団体、協賛企業からの参加者等の他にコミュニティ2008プログラムが公認不正検査士(CFE)専門教育ポイントやITコーディネータの資格更新ポイントの対象となったことから新規の参加者も増えました。今後もこれを継続すると共に来年の第6回デジタル・フォレンジック・コミュニティ2009(2009/12/14、15に開催予定)からは更に他の資格継続ポイント対象となる手続きも行い、より広い分野の方々の参加を促進してデジタル・フォレンジックの一層の普及を図って参りたいと思います。

第33号コラム「CIO(最高情報責任者)の役割とデジタル・フォレンジック」

第33号コラム:小林 宏之 幹事(株式会社NTTデータ e-コミュニティ推進事業部 部長)
題:「CIO(最高情報責任者)の役割とデジタル・フォレンジック」

従来のIT部門の課題は、ITシステムの構築と安定的な運用に重点が置かれ、ITを管理することが大きな目的でしたが、会社の経営そのものをITで管理する段階に移っています。これからは、ITそのものが目的ではなく、手段だと明確に認識する必要があると考えます。
そこで働く人材についても、コンピュータのことだけを詳しく知っているだけではだめで、業務や経営、社会の仕組みそのものへの造詣も深いこと、コンピュータを活用して社会のために何をつくれば喜ばれるのかを考えることが、求められるようになってきています。
このような状況の中、官公庁、自治体、企業においては、ITガバナンス強化のため、CIO、CIO補佐官を任命、採用しています。
CIOは、組織において、情報システムの統括を行い、IT戦略の立案と推進に責任を持つリーダーです。
あるCIOから話を聞き、業務の実態をみてみると、経営人に対する技術専門的な内容の説明、教育を行うとともにユーザーとITを統治する組織との接着剤の役割をはたしており、最近では、情報漏えい対策やSOX法対応もCIOやCIO補佐官が、中心になって実施しているとのことです。

第32号コラム「デジタル・フォレンジックの現場にて」

第32号コラム:芝 啓真 幹事(株式会社フォーカスシステムズ フォレンジック システム&サービス室)
題:「デジタル・フォレンジックの現場にて」

本年より「技術」分科会の幹事をさせて頂いています芝と申します。宜しくお願い致します。私が初めてデジタル・フォレンジックと出会ったのは、4年前のことでした。当時はセキュリティ分野に関わる事自体が初めての上、更に「フォレンジック」という言葉の意味が全く分からずとても苦労した覚えがあります。現在はデジタル・フォレンジック研究会の活動もあり、「フォレンジック」という言葉も随分浸透してきたと感じています。

さて、現在私はフォレンジック製品の営業を経て、e-Discoveryや調査等の技術的な業務を行なっています。「デジタル・フォレンジックの現場にて」とタイトルをつけましたが、普段の業務を行なっていると、改めて“人”と“セキュリティ”について感じることがあります。

1,2年前、P2Pソフトウェアによる情報漏えいが毎日と言ってもよいほどニュース等で報道されたことは皆様の記憶に新しいかと思います。最近は真新しさもなくなってあまり話題になりませんが、まだ散見されます。これだけニュースになり、おそらく皆様の職場でもかなりの情報セキュリティ教育が行なわれ、業務で使用するPCだけでなく、個人のPCでもP2Pソフトウェアの使用は控えたほうがよいとの認識は全員が持っていると思います。