第243号コラム「文書管理とeディスカバリ」

第243号コラム:木原 京一 幹事(株式会社UBIC 執行役員)
題:「文書管理とeディスカバリ」

 皆様、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 eディスカバリ対応において、IT技術のアドバンテージが高ければ高いほど、かかる手間や工数、コスト削減などを可能にし、訴訟戦略を有利に運ぶことが可能です。

もちろん、デジタル・フォレンジック技術が証拠開示において成否を分けるポイントとして、大きな役割を担う事は皆様ご周知の通りです。また現在、米国を中心として、eディスカバリにおける最先端のトレンドは、TAR(Technology Assisted Review)と呼ばれる、高い技術力を擁しリーガルプロセスで最も工数のかかるレビュー(文書仕分け)を劇的に減少させる、ITハイテクノロジーです。

 日本に限らず、韓国・台湾などアジア諸国の大手企業も、国際競争力の向上を課題にまい進していく中、国境を超える法的リスクを鑑みれば、早々にアジア特有の言語処理の問題をクリアし、このハイテク主導の流れに合わせ、eディスカバリの対応を実施していかなければ、グローバル化においての大きなリスクを免れなくなります。

 前置きが長くなりましたが、本コラムでは先に挙げたハイテク主導でのeディスカバリ対応と合わせ、実際に現場でサポートをしている立場から、別の視点で成否を分ける大きなポイントとして、文書管理とeディスカバリについて考えてみたいと思います。

第241号コラム「新しい年を迎えて」

第241号コラム:佐々木 良一 会長(東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
題:「新しい年を迎えて」

皆様、2013年あけましておめでとうございます。
ご存知のようにデジタル・フォレンジックもいよいよ実用段階に入り、いろいろな局面で利用されています。個人情報の漏えいなどに関連して漏洩事実や漏洩経路を明確化するために民間でも専門業者に依頼してデジタル・フォレンジックを適用する機会が増えてきているように思います。また、デジタル・フォレンジックの一分野であるネットワーク・フォレンジックも新しい攻撃に対する対策として注目を浴びています。政府においても、ログ管理・証跡管理に関連する統一基準を設定すべく、内閣官房の情報セキュリティセンターと本研究会が協力して検討を行い、昨年7月に「平成23年度 政府機関における情報システムのログ取得・管理の在り方の検討に係る調査報告書」としてまとめあげました( http://www.nisc.go.jp/inquiry/pdf/log_shutoku.pdf )。また、警察の捜査においてもデジタル・フォレンジック技術の利用が広く行われ、違法な書き込みなどに対応し、被疑者を逮捕するにあたっても、マルウエアの影響がなかったかデジタル・フォレンジックを用いて十分チェックしてからでないと大きな問題になる時代になってきています。

第240号コラム「さらに組織化が進むサイバー攻撃集団」

第240号コラム:丸山 満彦 監事
(デロイト トーマツ リスクサービス株式会社 パートナー)
題:「さらに組織化が進むサイバー攻撃集団」

 サイバー攻撃にまつわるニュースは新聞の社会面でも大きく取り上げられるようになってきました。それだけ、サイバー攻撃が身近なものとなってきたということだと思います。

 日本政府が尖閣諸島を買い上げると閣議決定した9月半ばに、政府機関や裁判所といった国の機関、日本企業にサイバー攻撃が相次いだということもニュースとして報道されました。もちろん、日本ではあまり大きく報道されていませんが、領土問題については日本以外でも各国間で生じていますので、例えば、フィリピンやウクライナなど、政府機関等が攻撃を受けた事例は数多く存在しています。

また、横浜市のホームページに小学校襲撃予告が書き込まれ、少年が誤認逮捕された事件も、一種のサイバー攻撃といえます。この案件など、ニュースに上がっている攻撃の中には、一見高度そうに見えても、実は稚拙な攻撃のものもあります。今回の誤認逮捕の件では、捜査側の分析能力がある程度分かってしまったという点で問題かもしれません。

 いずれにしても、サイバー攻撃がこれほど身近なものになってきた背景というのは、サイバー攻撃の数が単純に増えたからのみならず、私たちの生活がますますコンピュータ・ネットワーク上の情報に依存してきており、サイバー空間が安全に利用できなくなると、日常生活にも不都合が生じることが肌感覚で分かってき始めたからではないかと思っています。

第239号コラム「チェックアウト・プリーズASAP その2:相続手続きにみるコンプライアンス偏重」

第239号コラム:林 紘一郎 理事(情報セキュリティ大学院大学 教授)
題:「チェックアウト・プリーズASAP その2:相続手続きにみるコンプライアンス偏重」

前回(コラム第215号)に引き続き、3月に母を失くして以来の顛末記のうち、相続手続きに関する報告である。前提として、90歳を過ぎた高齢者は、いくら自己管理の努力をしても、資産を全て自分で把握することは不可能であること、それどころか身近な通帳と印鑑でさえ(両者の対応関係を含めて)管理できていないものと、想定していただきたい。

相続人になったとき、誰しも最初に考えるのが、「税金を払わねばならないほどの遺産があるのか?」ということだろう。私の場合、父は他界して既に20年で、相続人は私と弟だけなので、非課税限度は基本の5千万円に、相続人1人当たり1千万円×2人で、合計7千万円であった。
数年前に、60年近く住んでいた各務ケ原(岐阜市郊外)から横浜に転居してもらったとき、旧宅(母の名義)を4千万円ほどで売ったので、それに近い金額は残っていると思われた。しかし、それ以外は年金生活なので、非課税限度に届くはずはない。
税金が関係しないなら、「物はためし」で相続の手続きを、全部一人でやってみることにした。弟に頼もうにも、青息吐息のベンチャーの社長に、そんな時間的余裕が無いことも、はっきりしていた。しかし、どれだけ時間と手間がかかるかもしれない。
そこで、偶然初期にコンタクトしたM銀行から、「弊社関連の信託会社で、相続手続きの代行もやっています」と誘われてもらったパンフレットに、「基本料金100万円+作業量比例」と書いてあるのを根拠に、「プロに頼んだら最低でも100万円はかかるのだから、私がその半額でやる」と宣告(?)して了承を得ておいた。