第137回コラム「携帯電話フォレンジック:緊急通報における携帯電話の発信位置表示」

第137回コラム:舟橋 信 理事((株)NTTデータ・アイ 顧問、IDF理事)
題:「携帯電話フォレンジック:緊急通報における携帯電話の発信位置表示」

 携帯電話に関するデジタル・フォレンジック(以下「携帯電話フォレンジック」と言う。)と言えば、携帯電話内部に蓄積されている電子証拠を解析することを思い浮かべますが、携帯電話事業会社に蓄積されている通信記録や携帯電話の位置を特定することも携帯電話フォレンジックと言えます。

 本稿では、緊急通報、すなわち110番(警察)、118番(海上保安庁)又は119番(消防)を発呼した携帯電話の位置特定について、筆者も深く関わって参りましたので、日米におけるこれまでの経緯について述べておきたいと思います。

 なお、上記で「携帯電話フォレンジック」と表現しておりますが、iPhoneやiPad等の携帯端末機器やWi-Fiなどの普及を考慮すると、「モバイルフォレンジック」と総称すべきかと思います。

 1996年6月12日、米国連邦通信委員会(FCC)は、911通報、すなわち米国の緊急通報機能の強化について、次の2段階で実施することを決定しました。

第135回コラム「第7回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

第135回コラム:丸谷 俊博 理事・事務局長 (株式会社フォーカスシステムズ 新規事業推進室 室長)
題:「第7回デジタル・フォレンジック・コミュニティ開催に向けて」

週明けの12月13日(月)、14日(火)の二日間、第7回目となるデジタル・フォレンジック・コミュニティ2010が開催されます。IDFも設立後7年目となり、“デジタル・フォレンジック”という言葉もお陰様にて情報セキュリティ関連用語として定着し、その考え方や手法も普及が広まって参りました。IDF会員各位の活動へのご参加、ご支援にこの場を借りまして御礼申し上げます。

第7期のIDF活動は、「技術」分科会(3回開催済み)、「法務・監査」分科会(3回開催済み)、「医療」分科会(2回開催済み)活動の独自活動の他に情報ネットワーク法学会と連携したIDF主催講演会(9/18)及び共催講演会(11/11)等他団体と連携し、また「技術」と「法務・監査」が同じ場にて意見交換や討議を行う動きが出て来ております。※「医療」分科会は、日本医療情報学会との共同企画として開催しておりますが医療関係者へのデジタル・フォレンジックの紹介・普及が現段階では主となります。

第134号コラム「クラウド時代のデジタル・フォレンジック」

第134号コラム:上原 哲太郎 理事(京都大学 学術情報メディアセンター)
題:「クラウド時代のデジタル・フォレンジック」

 IT関係のメディアにクラウドの文字が躍り始めて久しいですが、今年あたりはもはや一般紙やビジネス書でも当たり前のように見られる言葉になりました。特にビジネスの分野では、IT関係の投資を大幅に抑えられるツールとして、クラウド型のサービスの導入を考える企業が多いようです。その一方、クラウド技術は情報セキュリティ対策の戦略に関しても大きなパラダイムシフトを引き起こしています。このこととデジタル・フォレンジックとの関係について今回は考えてみます。

 そもそもクラウドは、仮想マシン(VM)やVLANといった、計算機とネットワークの仮想化技術によってもたらされた新しい計算資源提供モデルです。仮想化技術そのものは昔からあるものですが、計算機性能の向上により、物理的な1台の計算機をVMによって多数の仮想計算機として提供でき、計算資源を細やかな単位で「切り売り」できるようになりました。これを利用して計算資源の単価の劇的な低下をもたらしたのがクラウドというサービスと言えるでしょう。

第133号コラム「『アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪(115号コラム)』への返答」

第133号コラム:佐藤 慶浩 理事(日本ヒューレットパッカード株式会社 個人情報保護対策室 室長)
題:「『アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪(115号コラム)』への返答」

 このコラムでは、第115号コラムの「アクセス巡回の自動化プログラムと業務妨害罪」に返信したいと思う。先のコラムでは、法律の専門家である石井徹哉理事から、技術者に対して、サーバの停止事故があったときに、それがクライアント側ソフトウェアによる過度の要求なのか、サーバ側のソフトウェアの不備なのかについて、裁判の証拠として利用できるような以下の評価や判断基準を考えることができるかという問いかけをいただいた。

問1.ソフトウェアに対する技術的評価に対する理論的枠組み

問2.ソフトウェアの害悪性・有害性に対する評価の可能性

問3.フォレンジックの原点:科学的知見の法廷証拠への活用

 これらの問いかけに答えるべく、当研究会では情報ネットワーク法学会との共催で9月18日と11月11日の2回、会員以外も含めてそれぞれ約50名の参加者とともに、合計5時間20分間に及ぶ座談会を開催した。
結論からすると、時間の制約で、問2と問3については直接の検討はできなかった。