第118号コラム「まずいメールを消去する人々」
第118号コラム: 町村 泰貴 理事(北海道大学大学院 法学研究科 教授)
題:「まずいメールを消去する人々」
大相撲の野球賭博問題に関連して、かの伝統を重んじる世界でも力士達は当然のように電子メールを利用し、携帯電話を情報送受信端末として使っているということが明らかになった。そして賭博にも、連絡ツールとして携帯電話が活躍していた。ところが、自己申告による賭博調査が行われると、自ら名乗り出れば厳重注意で済ませるという当初の触れ込みに釣られて「やりました」と認めた力士達も、情報をやりとりしたはずの携帯電話には賭博連絡メールが残されていなかったという。
賭博がどれほどの悪事かは議論の余地があろうが、ともかく力士達にとって後ろめたいことであることは間違いない。それは賭博をやっていることをばらすぞと言って、数百万円も脅し取る材料となることからも明らかだ。そういう後ろめたい行為の証拠が電子メールに残されているとき、当事者は一刻も早く、そのメールを削除してしまいたいと思い、そのように行動する。
