第102号コラム「子どもとネット安全に関する諸問題~今年も南紀白浜で会いましょう~」

第102号コラム:上原 哲太郎 理事(京都大学 学術情報メディアセンター)
題:「子どもとネット安全に関する諸問題~今年も南紀白浜で会いましょう~」

私は以前から、別のNPO(情報セキュリティ研究所)の活動として小学校~高校において情報セキュリティや倫理に関する講義をする活動をしています。以前は和歌山県下中心、せいぜい近畿を活動領域にしていたのですが、最近は毎日新聞社さんの「だいじょうぶキャンペーン」との協業で全国あちこちに出かけるようになりました。

3月には千葉県いすみ市の小学校で、保護者向けにケータイやネットの利用について注意するべき点をお話ししました。

また学校の先生方ともお話しして、昨今の子どもとケータイに関する状況を伺っています。

 

以前から感じていたことではありますが、子どもの安全・安心とITセキュリティとの間には大変面倒で難しい問題がたくさん横たわっています。特に問題だと思われるのは、ケータイやインターネットの利活用力は子どもたちが保護者を上回ることが少なくないため、家庭内において保護者が子どもたちに指導的な役割を果たせていないのではないか、という点です。実際、保護者の皆さんに伺っても、ケータイやインターネットの利用に関して漠然と不安を持っていても具体的にどのようなことを子どもたちに教えてよいか判らず、学校での指導に期待する声が少なからずあります。

第101号コラム「クラウドは第四のダウンサイジング?」

第101号コラム:佐々木 良一 理事(東京電機大学 未来科学部 情報メディア学科 教授)
題:「クラウドは第四のダウンサイジング?」

米国グーグルのCEO エリック・シュミット(Eric Schmidt)が2006年に最初に利用したといわれることばであるクラウドコンピューティング(Cloud Computing、以下、単にクラウドともいう)に対する関心が高まっている。

クラウドについてはいろいろな側面がある。種々のコンピューティングサービスを必要な時,必要な規模で安価(場合によっては無料)に使えるなどの利用者の立場からの見方はもちろんできる。また、グーグルやセールスフォースなどによる国際的囲い込み戦略としてのクラウドという側面もある。国際的囲い込み戦略という見方をすると、クラウドは第4のダウンサイジングではないかと思い始めた。

第一はご存知のように、コンピュータのダウンサイジングであり、1990年ごろ本格的にはじまった。IBMの価格戦略により高額を維持してきたメインフレームがクライアントサーバシステムへ移行し始めたのである。当時コンピュータメーカにいた私は、本当に信頼性が必要なシステムをメインフレーム以外で実現できるはずがないからメインフレームがなくなることはないという意見を何度も聞いた。確かにメインフレームは銀行の基幹系などで今でも残っている。しかし、メインフレームのマーケットは徐々に失われていき、残った部分も大幅に価格低下した。そしていろいろな分野でサーバやPCを中心とするコンピュータ化が進んでいった。

第100号コラム「フォレンジックと人材育成の、ある側面」

第100号コラム:宮坂 肇 理事(株式会社NTTデータ技術開発本部 ITアーキテクチャ&セキュリティ技術センタ)
題:「フォレンジックと人材育成の、ある側面」

 

コラム第1号は2008年3月8日に発信された「デジタル・フォレンジックのコミュニティ」(上原理事)から回を重ね、このコラムで連載第100号を迎えることになりました。そして、先日4月6日には、ご案内の通り「証拠保全ガイドライン 第1版」も公開しています。これも研究会の活動を支えてくださった皆様のおかげかと思います。

 

さて、今回は“フォレンジックと人材育成”というタイトルで進めていたが、ちょうど原稿を書いているさなかでBGMとして流れていたニュース番組で、新社会人のタイプについての紹介があった。日本生産性本部が、毎年3月に新入社員のタイプを報道発表している。今年4月に入社した社員は、”ETC型”であるとのことである。ETCといえば、事故防止のために速度制限がかかって開閉バーの開くタイミングが遅くなって時速20km以下の速度抑制対策を行っている。タイプとしては、性急に関係を築こうとしても、直前までなかなか難しいということである。“ゆとり世代”の象徴的な特徴なのかもしれない。彼らは、子供の頃からゲームやパソコン、携帯電話、インターネットなどを気軽に利用できるような環境に育ち、ITの活用には長けているはずであるが、一方、人との直接的なコミュニケーションは苦手な面があるのかもしれない。