第88号コラム「コンピュータシステムの内に居る人間、外から使う人間:福は内、鬼は外」

第88号コラム:野津 勤 幹事 (株式会社システム計画研究所)
題:「コンピュータシステムの内に居る人間、外から使う人間:福は内、鬼は外」

今まで私は、主に2分野のシステム製品の開発に長年携わってきた。一つはプロセス制御システムで、石油・化学・食品・鉄鋼・電力等の様々な製造工程の自動制御を担っている。もう一つは医療情報システムで、PACS(Picture Archiving and Communication System:診断画像の通信・保存システム)、RIS(Radiology Information System:放射線部門業務システム)、画像配信システム等である。医療情報システムの中の主な要素としてセキュリティ機能も含まれる。分野としての法規制の存在の大きさから言って、後者の方が法的な面との関連が強い。

以下に、節分の風物詩を思いながら“人間の役割・立ち位置とコンピュータシステム機能”について、両システムの概略でかなり強引にフォレンジック的に比較してみる。

新年の劣化状態の頭で、単純化は出来ないことを断定的に書いているので、異論があることは承知で、こんな比較も有りうるということでご参考になれば幸いである。

第86号コラム「アメリカ民事訴訟における電子証拠の保全と開示」

第86号コラム:町村 泰貴 理事(北海道大学大学院 法学研究科 教授)
題:「アメリカ民事訴訟における電子証拠の保全と開示」

アメリカの民事訴訟ルールでは、e-Discovery、すなわち電子証拠を対象とする証拠開示制度が明文化された。これによって訴訟上にデジタルデータが証拠として提出される場合のルールが明確化され、特に紛争が生じてからの改ざんが禁止されたり、相手方当事者に開示するデータの形式や範囲をめぐる協議が必要となったり、デジタルデータの改ざんという紛争の予防が図られている。

最近の日本の裁判例でも、デジタル録音されたデータが改ざんされたものかどうかが正面から争われた事例がある。東京高裁平成21年3月27日の判決で、判例タイムズ1308号283頁に掲載された事件だ。

事案は、著名な政治家が元所属先の政党と仲違いをしたため、著名政治家の所有する政党の秘密事項を記した手帳などの記録を政党側にとりもどすべく、政党幹部達が著名政治家の自宅を訪問し、手帳等の引渡しを受けたという出来事に関連する名誉毀損事件である。

第84号コラム「クラウドコンピューティングがもたらす光と影」

第84号コラム:丸山 満彦 監事(公認会計士)
題:「クラウドコンピューティングがもたらす光と影」

クラウドコンピューティングが、IT専門雑誌やIT系メディアのみならず、一般新聞紙やメディアでも取り上げられるようになってきています。そこで、今回はクラウドコンピューティングがもたらす光と影ということで、そのメリットとリスクというものを少し考えてみたいと思います。

クラウドコンピューティングと一言でいっても、その内容は様々で、いろいろな側面を有していると思います。クラウドコンピューティングの特徴としては、サービスを受ける側からみればハードウェアをそろえることなく、あたかも水道管をひねるように、電気のスイッチを入れるように必要な時に必要なサービスを直ちに受けることができるということがあると思います。このような状況は情報処理サービスの社会インフラ化ということにもつながってきているともいます。このようなサービスを提供するために、サービス提供側を安価かつ安定的に行うことができるようになってきた背景には、ネットワーク回線が社会インフラとして整ってきたということと、情報処理がハードウェアの低価格化のみならず仮想化技術等により安価に提供できるようになってきたこともあると思われます。