第7号コラム「デジタル・フォレンジックの世界」

第7号コラム:舟橋 信 理事(財団法人未来工学研究所 参与)
題:「デジタル・フォレンジックの世界」

 

IFIP(国際情報処理連合)WG11.9が主催するデジタル・フォレンジック(以下、「DF」と称します。)に関する国際会議には、2006年の第2回から出席しておりますが、今回は、そこで発表された研究題目から、DFの対象領域について、ご紹介したいと思います。

 

DFは、デジタル機器に残された電子的証拠を扱う法科学の一分野ですが、日本では、サーバー、パソコン、周辺機器、携帯電話などが、主たる対象と考えられております。

 

上記の国際会議で採択された発表論文をみますと、対象領域は、もう少し幅が広く、電力・鉄道・石油化学プラントなどの重要インフラの制御系、いわゆるSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)のインシデント・事故調査のためのフレームワークや携帯電話の位置情報なども対象となっております。また、ビデオ画像の鮮明化、ホームページの画像に隠されたメッセージの検知、いわゆるステガノグラフに係わる解析などもDFと考えられております。

今回は、携帯電話の位置測定についてご紹介したいと思います。

第6号コラム「デジタル・フォレンジック調査の夢」

第6号コラム:萩原 栄幸 理事(ネットエージェント株式会社 取締役)
題:「デジタル・フォレンジック調査の夢」

 

フォレンジック調査・・・あまり一般的には知られていない用語ではありますが、通常は被疑者の使用パソコンの内容をツールや「技」を駆使して言い逃れの出来ない証拠物件を探すこともしくは、逆に正当な使い方をしており、「無実」であることを証明する直接的な方法として用いられる事が多いようです。

 

現在、このような意味でのフォレンジック調査を商売として行っている会社はUBICやネットエージェントなどまだまだ数が少ないと思われます。そのせいか、外資系コンサルタント会社に時々フォレンジック調査依頼があっても、大抵は米国、香港などのいわゆる外国人部隊を招き作業を行っている例が多いと聞き及んでおります。

 

しかし、1バイトコード圏で著名なフォレンジック調査員であっても2バイトコード圏での作業は難しいと関係者からも聞き及んでおり、実際に統計をとった訳ではありませんが、大半は多分にこの環境が分析の足かせになった事と思われます。

第5号コラム「デジタル・フォレンジック研究会へのエール」

第5号コラム:山口 英 先生(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授、内閣官房情報セキュリティ補佐官)
題:「デジタル・フォレンジック研究会へのエール」

 

情報システムが企業活動、行政活動の基盤として広く使われるようになり、業務集積、情報集積が急速に拡大しています。このような状況において、情報システムがどのように動作し、何が起きているかを把握することは、情報システムの運用に責任を持つ者にとっては必要不可欠であることは、言うまでもありません。

 

しかし、最近の情報システム、特に業務で使用される情報システムを考えてみると、取り扱われる情報量、情報システムの規模、利用者数等を勘案すれば、運用状況、動作状況についての正確かつ些細なレベルまでの把握は、日増しに容易なことではなくなりつつあります。個人が使うPCを考えてみても、最近のPC環境は、もはや一人の技術者が人手で把握するレベルを遙かに超え、専用のソフトウェアやツールを使って解析する状況になっていることからも、把握困難な状況になってきていることは明らかであると言えましょう。

第3号コラム「元祖デジタル・フォレンジック考」

第3号コラム:大橋 充直 氏 (ハッカー検事)
題:「元祖デジタル・フォレンジック考」

 今は,デジタルフォレンジックと言えば,コンピュータ(サーバ)内のアクセスログや各種ログというデジタルデータを証拠化するものと一般には理解されているようである。その御先祖様は何であろうか。実は刑事法の分野では,30年以上前からデジタルデータの証拠化つまり犯罪立証の証拠としてデジタルデータが使われてきた。ただし,プリントアウトしたペーパーベースであるが(笑)。

 それは,固定電話の課金情報すなわち通話履歴である。また,ときに,110番の逆探知というトレーシング(トレースバック)もマスコミに報道されていた。もちろん,手作業のトレースバックをクロスバ交換器に対して行って逆探知で犯人を追う,というところまで行けば,戦後犯罪史を飾る「よしのぶちゃん誘拐事件」までたどり着くであろう。

 当時から電話交換が発信番号パルスというデジタルデータで自動接続されていたから,身代金目的幼児誘拐事件という特異重大事件から,酔っ払いが酔った勢いで110番に爆破予告や放火予告を行うという間の抜けた脅迫事件まで,既にデジタルフォレンジックが大活躍していたわけである。とくに,身代金目的の金銭要求電話では,犯人性を特定する証拠として,声紋つまり今風に言えば生体認証が実用化を始めた。記憶では既に昭和30年代から実用化されていたはずである。