第156号コラム「想定された想定外」

第156号コラム:舟橋 信 理事(財団法人未来工学研究所 研究参与)
題:「想定された想定外」

『防潮堤を市民過信』、『市から○日午後4時、避難命令が出されたが避難したのはわずか4、50人だった。・・・完全な護岸工事が行われ、・・・市民が安心していたのではないか。』、『海岸堤防が切れ、たちまちのうちに水深2.5メートルから3メートルに達したので、逃げるひまがなかったのだろう。』、これは、今回の震災の新聞記事ではなく、5千名を超える犠牲者を出した伊勢湾台風直後、昭和34年9月28日の中部日本新聞朝刊に掲載されていた記事である(実際の記事から町名等を○に置き換えている)。これは、291人の犠牲者を出した愛知県半田市の状況を記事にしたものである。また、昭和35年に発行された半田市役所の小冊子「1959年9月26日伊勢湾台風と半田市」には、その状況を『堤防に信頼して避難を見送っていた人も多かった。この堤防が、13号台風[昭和28年(筆者注)]をはるかに上回る高潮で決壊し、臨海工業地帯は暗黒の夜半一瞬にして泥海となったのだからたまらない。』と記している。

第155号コラム「震災復興支援で活躍するデジタル・フォレンジック技術」

第155号コラム:名和 利男 理事(株式会社サイバーディフェンス研究所 情報分析部 部長 上級分析官)
題:「震災復興支援で活躍するデジタル・フォレンジック技術」

このたびの東北地方太平洋沖地震により被災されました皆様に、心よりお見舞い申し上げるとともに犠牲になられた方々およびご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。

今回の震災により多くの方の尊い命が失われました。現場では、未だに身元不明のご遺体があり、想像を絶する極限状態での作業が続いていると聞いています。また、地震直後の大津波により、個人及び組織にとって重要かつ貴重な情報資産が破壊、消滅しました。

このような状況を直視し、微力ながらでも支援させていただくべく、私が所属しているフォレンジックチームが、デジタル・フォレンジック技術を活用した実動支援をいたしました。その報告内容を、本コラムにて紹介させていただきます。

今回の震災により、人命のみならず、様々な情報も消失しました。特に、病院における患者さんの医療情報が消失したことは、身元不明のご遺体の身元確認を困難にしました。しかし、かろうじて、病院内のコンピュータ(端末やサーバ)が、海水等の浸水の被災を受けたものの、回収することは出来ました。そのコンピュータのハードディスクの中に、患者さんの医療情報が残っている可能性がありました。

そこで、活躍したのがデジタル・フォレンジックの関連技術である「データ復旧」です。

第154号コラム「八百長のフォレンジック」

第154号コラム: 小向 太郎 理事(株式会社情報通信総合研究所 法制度研究グループ 部長 兼 主席研究員、IDF「法務・監査」分科会主査)
題:「八百長のフォレンジック」

前回のコラムを「八百長のフォレンジック」として予告していたのですが、東日本大震災直後の配信となったため震災に関する内容に変えさせていただきました。

大相撲の八百長問題は、その後、特別調査委員会の調査によって八百長関与を認定された23人に対して、相撲協会が引退勧告や出場停止などの処分を示しています。

大事件が続くなかで、あまり世間の関心を集めなくなっていますが、デジタル・フォレンジックとも関係する話題なので、改めて取り上げたいと思います。

相撲の星のやりとりは、以前から囁かれていたものであり、事実そうしたことが行われていたのでしょう。
今回の発端は、警視庁が行っていた野球賭博に関する捜査で押収された携帯電話のなかに、八百長を持ちかけるメールが見つかったというものでした。
端末上で削除されていたメールのデータを復活されるのにデジタル・フォレンジックの技術が使われており、電子情報におけるデジタル・フォレンジック技術の威力を知らしめることにもなりました。
たしかに、強制捜査で押収すれば、そのなかに被疑者が隠そうとする証拠もみつけることもあり得るでしょうし、フォレンジック・ツールが有効に使われる場面だと思います。

第152号コラム「東北地方太平洋沖地震から考察するダメージコントロール」

第152号コラム: 守本 正宏 理事(株式会社UBIC 代表取締役社長)
題:「東北地方太平洋沖地震から考察するダメージコントロール」

1000年に一度とも言われる地震と津波の発生とそれに伴う原発事故により東北地方と関東北部の太平洋岸では戦後最大の甚大なる被害がでました。地震が発生した当日ちょうど私は出張で米国にいました。ホテルに帰って仕事をしていると、ウェブサイトで地震発生の知らせが入りましたが、当初はどうせいつものことであろうと気にしていませんでした。ところが数分後、私の妻から電話がかかり、すぐ直後に会社からも電話が入りました。ようやく事の重大性を理解し、必要な処置を米国から日本にいる弊社スタッフに対応に関する指示をだしました。運よく、海外からの回線は国内の回線より比較的通じやすかったので情報の伝達は日本にいるよりもスムーズにできたのが幸いでした。
 米国ではいつもは日本に関連するニュースなどほとんど流れないのですが、地震・津波発生の瞬間を境に毎日24時間にわたって日本の地震・TSUNAMI・原発のニュースを流すという状況になりました。