第147号コラム「二つの最高裁判例に見る動画配信」

第147号コラム:須川 賢洋 理事(新潟大学 大学院現代社会文化研究科・法学部 助教)
題:「二つの最高裁判例に見る動画配信」

 今回は、ネットを利用した動画(テレビ番組)の録画・配信と著作権について思うところを書いてみたい。

 さる1月18日、20日と最高裁判所は、ネットワーク上でのテレビ放送の再送信や録画に関して立て続けて判断を示した。一つは「まねきTV事件」(平成23年1月18日)であり、もう一つは「ロクラクII事件」(平成23年1月20日)である。どちらも原判決を破棄し、知財高裁に審議を差し戻している。

 これらはどちらも、客から預かった地上アナログ放送の受信機械を都内に置き、ネットワークを通して客先に視聴させるサービスである。利用者はリモートで機械を操作し番組を視聴する。海外赴任者や地方居住者にはニーズがある故、ビジネスとして成立する。「まねきTV」は市販されているソニーの「ロケーションフリー」を大量に預かり設置しサービスを提供するものである(注:ロケーションフリーには録画機能はない)。また、「ロクラクII」はインターネット通信機能を有するHDDレコーダで親機(会社側設置)と子機(ユーザ側設置)からなるものである。

第145号コラム「公開メールデータ」

第145号コラム:芝 啓真 幹事((株)フォーカスシステムズ フォレンジックセキュリティ室)
題:「公開メールデータ」

「エンロン事件」をご存じの方は多いと思います。総合エネルギー取引とITビジネスを行っていたエンロン社が、不正経理・取引が発覚したことにより、2001年12月に破たんした事件です。事件の詳細はここでは省略させて頂きますが、ワールドコムの事件と合わせて、上場企業会計改革および投資家保護法(通称SOX法)が制定される要因の一つとなり、また同社の不正に関わっていた大手監査法人アーサー・アンダーセンが解散するなど、多大な影響を及ぼした事件です。(およそ10年前の事件になることをあらためて知り、時の流れの早さを実感しました。)

また、このコラムをご覧になられている方の中には、EDRM(The Electronic Discovery Reference Model)をご存知の方もいらっしゃるかと思います。eDiscovery(電子情報開示)における処理フローのガイドラインを示すものです。このガイドラインはhttp://edrm.net/にて公開されていますが、このサイトでは、eDiscoveryを効率よく進めるためにいくつかのプロジェクトが行われています。これらプロジェクトは、複雑なeDiscovery処理フローをある程度標準化し、処理の品質を高め、eDiscoveryにかかるコストを削減することを目的としています。

第144号コラム「クラウド時代のセキュリティの真実~AWS最新動向から見る現実解~」

第144号コラム:熊平 美香 監事(一般財団法人クマヒラセキュリティ財団 専務理事)
題:「クラウド時代のセキュリティの真実~AWS最新動向から見る現実解~」

昨年秋に、AWS(アマゾンウェブサービス)のJeff Barr氏を講師に招き、クラウド時代のセキュリティをテーマにセミナーを開催致しました。企業のセキュリティ担当者やセキュリティの専門家など全部で136名の方にお集まりいただきました。Jeff Barr氏は、技術的な専門性が高く、AWS に精通している一方で、対象者の専門性や興味・関心に合わせて、『言語』を変えて話すことができるAWS のエバンジェリストです。現在は、世界中を回り、AWS の競争優位性や特徴を、経営者や技術専門家に対して『言語』を使い分け、解説されているそうです。講演では、セキュリティの専門家の『言語』でお話し頂きました。

Jeff Barr氏の講演を聞いて一番驚いたのは、「安全性」を実現しながらも、アマゾンの「顧客中心」という企業方針が、クラウド・コンピューティングサービスにも生かされているという点です。アマゾンがこのサービスを企業に提供し始めたのは2006年ですが、初期設計段階からセキュリティを設計に組み入れていました。システムを使うユーザーが最初から独立した形で保護されるという安全性を実現することが、顧客にとって最重要課題であり、セキュリティを保証するためには、セキュリティを後付けにするのではなく、システム設計の初期段階から設計に組み入むことが不可欠であるという認識からです。